小江戸日記

小江戸川越の情報や話題、日々のつれづれを綴っていきます。

「画業60年のかわいい伝説 花村えい子と漫画」展開催中。残り期間わずか!

川越市立美術館で開催中の特別展「画業60年のかわいい伝説 花村えい子と漫画」に、ようやく行くことが叶いました。

f:id:mkoedo:20210906031700p:plain

 

同展では、川越で生まれた少女漫画家、花村えい子さんが1959年のデビューから60年以上昨年12月3日に亡くなられるまで(享年91歳)の制作の軌跡を辿っています。少女漫画家を描き始めたころの、キラキラ目をした強烈に可愛い少女らは、花村さんならではの世界です。今回の展示は写真撮影OK(フラッシュは不可)だったので、スマホで何枚も写真を撮りました。

 

f:id:mkoedo:20210906033844p:plain

展示の方法もかわいくて、展示会場に入るや否や、私の頭の中にも花が舞い始めていました。

 

f:id:mkoedo:20210906034413p:plain

人の背の高さくらいのサイズある見開き漫画本を模したものがいくつか置かれています。

 

f:id:mkoedo:20210906034846p:plain

 

花村さんの代表作のひとつが「霧のなかの少女」。1966年に週刊マーガレットに連載され、大ヒット。ストーリーは、

恋人と別れ、生活や家族のために製菓会社の御曹司と結婚した由布子。しかし、一人娘のリカが誘拐され行方不明。由布子は間もなく奈津子を養女に迎え入れる。奈津子はすくすく成長し、幸せな日々を過ごす由布子だが、旅行先の北海道でリカという名の由布子によく似た少女と奈津子が仲良くなり・・・

というような、シリアスな感じ。

この作品は昭和50年に「家庭の秘密」というタイトルでテレビドラマ化もされていて、こちらも大ヒットしたとのこと。秋吉久美子池上季実子主演、主題歌はユーミン荒井由実時代の名曲「あの日に帰りたい」。このドラマ見てみたいな~。

f:id:mkoedo:20210906042915p:plain

霧のなかの少女

女子が花村さんの作品に惹かれる理由のひとつはそのファッショナブルなところでしょう。展示されている昭和の作品も、今見ても本当にお洒落でポップなセンスが新鮮でした。

 

f:id:mkoedo:20210906034305p:plain

f:id:mkoedo:20210906035419p:plain

お洒落大好き!

それからとにかくカラフル。綺麗な色遣いが目を引きます。髪の色も水色だったり、ピンクだったりと軽やかで明るい色調。描く少女の髪の毛をこういった色でカラーリングするのは、花村さんが最初に始めたことだそうです。奇抜に見える試みも、花村ワールドの少女たちにとってはごく自然な感じですね。

f:id:mkoedo:20210906035937p:plain

ピンクの髪!バックにはイチゴ!

やっぱり花村さんが少女漫画をたくさん描いていたこのころ、昭和40年代~50年代くらいの日本てどんどん豊かに成長していた時代だったんだな、と思う。花村さんは戦争を経験されており、2015年8月9日にNHKBSで放送された「八月十五日、私は ~著名人が語る戦争~」という番組で、戦時下は「色の無い時代だった」と話されています(NHKアーカイブで観れます)。

www2.nhk.or.jp

戦争が遠のき、平和と豊かさを享受する時代、色彩豊かで心地よくていい匂いまでしてきそうな「かわいい」が広く支持を得ていったのでしょうね。

 

f:id:mkoedo:20210906040646p:plain

 

花村さんは中原淳一に憧れていたそうで、描かれた少女のポーズとか、中原淳一の影響かなと思われる要素が随所に垣間見れました。といっても私自身はあまり中原淳一のことは知らず、いくつかの作品をネット上で見たことがあるのと、あとは美輪明宏さんが絶賛していた人というくらいの知識しか無いのですが。中原淳一についてもちょっと興味が湧きました。

来場者の多くは女性で、私のような元少女や現役の少女らが、花村さんの描く「かわいい」を楽しんでいました。こういう耽美的で美こそすべて、「かわいい」が至上の価値を持つような世界でうっとりする時間て、もう大人になったら本当に貴重ですね。贅沢な時間を過ごさせていただきました。

 

■「画業60年のかわいい伝説 花村えい子と漫画」展

場所:川越市立美術館

開催時間:9時~17時。

料金:一般=600円、大学生・高校生=300円、中学生以下無料。

開催期間:2021年8月8日~9月12日まで。

 

会期が残り1週間と迫っています。行かれるなら平日がお勧め!