小江戸日記

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生誕130年 小村雪岱(こむらせったい)の世界

日本橋に用事があって少し時間があったので三越をブラブラ。なんでも日本画家・小村雪岱の展示があるようなので、寄ってみることにしました。

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というのも、小村雪岱は川越の出身。明治20年(1887年)に生まれ大正から昭和初期に活躍した人物なのです。実のところ今まで作品をじかに見たことがなかったので、この機会に見てみようかと本館6階のアートギャラリーへ。

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今回の三越の展示は小さなスペースで、展示数もそう多くはなく、主として販売目的だったのですが、それでも雪岱作品の実物を見ることができて満足(この日本橋三越本館アートギャラリーでの展示は2017年7月5日〜11日まで(最終日は17時閉場))。あ、もちろん無料です。

今年生誕130年を迎える小村雪岱。来年1月からは川越市立美術館でも特別展(2018年1月20日〜3月11日)が企画されています。もっと広く知られていい人物だと思うので、少し紹介させて下さい。

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小村雪岱は、泉鏡花作品の装幀・挿絵の仕事から一躍有名になり、その後は映画や舞台装置の美術まで幅広く活躍しました。溝口健二監督の映画美術も担当していたそう。泉鏡花溝口健二も、どこか妖気漂う独特の美を生み出していますが、雪岱の創造する世界と親和性があるのでしょうね。

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ちょっと面白いところでは、雪岱は「資生堂書体」を生み出したデザイナーでもありました。文字のデザインが与える印象ってすごく大きいですよね。上の写真は昨年催された『小村雪岱資生堂書体』展のポスター。

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雪岱の描く女性は懐かしさとともに、べたつかないキリッとした色気を感じます。縞の着物、そう、川越唐桟などを粋に着こなしているような。同時代に活躍した竹久夢二の描く抒情的な女性像と好対照をなしているのではないでしょうか。

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江戸情緒とモダンな感覚が絶妙に合わさった雪岱の世界、いいでしょう?生誕130年のこの機に注目され、今後多くのファンを獲得していく予感がします。