小江戸日記

小江戸川越の情報や話題、日々のつれづれを綴っていきます。

フランス・オータンを往く―川越の姉妹都市

フランス、パリの南東300kmに位置するオータン。ローマ帝国初代皇帝アウグストゥスの命により築かれ、実に2000年にも及ぶ歴史を持つこの街は、かつて「ローマの妹」とも呼ばれ栄えました。

このオータンの街、2002年より川越の姉妹都市となっているのです。他の自治体でも似たり寄ったりだと推察しますが、姉妹都市と言われても大部分の市民にとっては普段全くと言っていいほど関りがありません。ですが、私はオータンがブルゴーニュ地方に属することを少し前に知って、以前から計画していたブルゴーニュを巡る旅の目的地のひとつに加えてみたのでした。というわけで、今回はフランス・オータンをご紹介します!

パリ・リヨン駅からTGVに乗りおよそ1時間半でブルゴーニュの首都・ディジョンへ。ここから列車でシャニーへ行き、シャニーでオータン行きのバスに乗り換え。ディジョンからは乗り継ぎ時間も含めると2時間くらいでオータン駅に到着です。

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◆サン・ラザール大聖堂

オータンの代表的な観光スポットは、まずはサン・ラザール大聖堂ロラン美術館です。

この二つはすぐそばに位置するのでセットで観光。駅から30分弱くらい歩くでしょうか、坂もあるので少しばかり息の切れる道のりです。まずはサン・ラザールへ。

12世紀(尖塔は15世紀)に建立された大聖堂。

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ここはタンパンと呼ばれる正面入口上部の半円部分の浮き彫りがとりわけ有名。貴重なロマネスクの作品だそうです。

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 「最後の審判」の中央に位置するのは、審判者として再臨したキリスト。 

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キリストの左側は天国、右側は地獄を表しています。足元にいる人々も左は天国行き、右は地獄行き。地獄行きの人々の絶望感、なかなかわかりやすく伝わってきますよね。

 

◆ロラン美術館

サンラザール大聖堂のすぐ手前にはロラン美術館があります。この建物はブルゴーニュ公の宰相となったオータン出身のニコラ・ロラン氏の15世紀の邸宅だったものです。ロランはボーヌにある貧者のための病院(オテル・デュー オスピス・ド・ボーヌ"Hotel-Dieu Hospices de Beaune")を建てた人でもあります。

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ネットなどで前もって調べた情報によるとこの美術館の目玉は、12世紀の彫刻「イヴの誘惑」というもののよう。事前調査ではなかなか興味をそそられた作品でした。それでは中へ。

まずはこのあたりの土地で出土した器や、ローマ時代のモザイクなどの展示を鑑賞。

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順路を回っていると中庭に出ました。

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中庭には、枯れたアジサイと共にあの川越でもお馴染みの・・・・

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そう、顔出し看板がありました。

さて、結構美術館に入ってからだいぶ見て回り、移動しているのに「イヴの誘惑」にはたどり着かない。そろそろお目にかかりたい!と、近くにいた美術館のスタッフらしき人に「どこにありますか」と聞いてみます。すると、その溌溂とした若い女性は笑顔で「こっちよ」と案内してくれました。この人について行けば安心という感じのしっかりとした足取りと、なんといってもその自然で明るい笑顔で、この美術館への印象はぐーんとアップ。

そしてイヴの誘惑とやっとご対面。

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このレリーフはさきほど訪れたサンラザール大聖堂タンパンの下にアダムと対になって飾られていたそうです。1766年の改築の際、アダムとともに廃棄され(教会の入り口にはちょっとなまめかしすぎるのがダメだったみたい)、のちにイヴだけが発見されたとのこと。

それにしてもこの表情としぐさがいいですね~。ちょっとからかうように囁きかけるイヴ。彼女は左手に掴んだ禁断の実をアダムに食べさせようと誘惑しているのです。誘惑されているアダムの表情を見てみたくなりますね。戸惑いを浮かべているのか、それともちょっと怒ったような表情なのか・・。

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角度を変えるとちょっと印象が変わりますね。

このロラン美術館は、個性的で地方色のある素敵な美術館でした。

 

◆アロー門

街の外側には古代ローマの遺跡が点在しています。写真は早朝、ホテルの朝食前に散歩がてら行って撮ったアロー門。町の北側の門・アロー門とヤヌス神殿はすぐ近くなので合わせて訪れてみました。

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反対側から撮ったもの。

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すぐ側にはアロー川が流れ、この日は朝もやがすごかった。

ヤヌス神殿

アロー門から徒歩15分くらいでヤヌス神殿へ。朝もやのなかを歩きます。犬の散歩をする人やジョギングをする人とすれ違います。

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見えてきました。

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到着。清涼な朝の空気の中、なんとも言えない気持ちに襲われます。本当に遠くまで来たなぁという。時代も超えちゃったなぁという。

AD1世紀頃に建てられたものだそうです。

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すぐそばのパネルには現代の技術を使って描かれた復元想像図が描かれていました。

 

◆パッサージュ、ローマ劇場、サン・タンドレ門・・・

その他の街の見どころも簡単にご紹介。

街の中心はシャン・ド・マルス広場。ここには市庁舎があり、時折マルシェが開かれているようです。すぐそばにはパッサージュがありました。

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オータンの旅行案内パンフレットによると、ここは19世紀半ばに造られ、ネオルネッサンス様式と当時のガラスをそのまま残しているとのことです。ほんのわずかな距離ですがなかなか風格あるパッサージュ。でも、安っぽい飾りがぶら下がっていたりして、閑散としてる。少しもったいない気がしました。

街の東側にはローマ劇場跡もありました。結構大きいんですよ。直径148メートルとか。が、なにやら工事中で写真は撮らず・・。観光地って工事中のところ多いですよね・・・。

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ローマ劇場の隣にはヴァロン湖が。歴史的モニュメントや美術品しかチェックしていなかったけれど、どうやらこの街は豊かな自然にも恵まれているようです。山や水上のアクティビティも色々あるのかもしれません。

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街の東側にあるサン・タンドレ門。アロー門と同じような造りです。

オータン、落ち着いていて人も街も自然体。居心地のいい場所でした。来てよかったな。旅の最初に訪れたため、体力が充実していてがんがん動けたということもあるけれど、自然が豊かで歴史的建築物も多く、古い町のならではの雰囲気に浸れたのが得難い経験でした。

◆オータンと合わせて訪問、ブルゴーニュの街、そしてリヨン

今回の旅ではオータンに1泊し、ボーヌ、ディジョンブルゴーニュの街を巡った後、ディジョンから列車TGVで1時間半に位置するリヨンにも滞在。ボーヌでは、オータン出身のニコラ・ロランが建てたオテル・デュー オスピス・ド・ボーヌも訪問しました。

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もちろん、ブルゴーニュのワインも美味しかった!食事もやはり素晴らしくて、いいところだなあ、ブルゴーニュ

リヨンも美食の街として知られています。でも私がリヨンで一番行きたかったのは、リヨン織物装飾芸術博物館

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絹織物でも有名な街だけあって、とても充実した展示内容でした。19世紀後半には日本からリヨンに生糸を輸出したり、日本の職人が機織り機をリヨンから持ち帰って生産したりと、日本とリヨンには絹を巡る交流の歴史があるのです。ファッションや絹織物に興味のある人にはお勧めの博物館ですよ。

さて、この旅を終えてみて、ヨーロッパの小さな街を探索する面白さに開眼した気がしましたね。オータンは、川越の姉妹都市でなかったら、その名前さえ知る機会はなかったかもしれないし、行くことなどまずなかっただろうと思います。ひょんなことがきっかけになりますね。

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それにしても、姉妹都市ってもうちょっと交流があってもいいんじゃないかと思ったな。