小江戸日記

小江戸川越の情報や話題、日々のつれづれを綴っていきます。

川越『きものの日』と着物文化・絹文化

今日は28日、川越は『きものの日』です。毎月8の付く日、つまり8日,18日,28日は川越『きものの日』、小江戸の街に着物姿の方がたくさん集います。

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最近、川越の街中では川越唐桟をお召しになった川越出身の俳優・市村正親さんのポスターを頻繁に見かけます。やはり役者さん、カジュアルな装いでありながら風格ある着こなしですよね〜。男性の着物姿も以前よりずっと多く目にするようになりました。

 

●絹文化/着物文化

夏草に這上がりたる捨蚕(すてご)かな 

明治から昭和にかけて活躍した高崎の俳人村上鬼城の句です。

病気や発育不良のため川や野原に捨てられた蚕が、その身体の奥に淀んでいた生命力を引っ張り出して、夏草茂る川辺に這い上がってきた、そんな光景を読んだ句でしょうか。

それにしても捨蚕なんて風習があったこと、この句を読むまでしりませんでしたよ。捨蚕・上簇(じょうぞく)・夏蚕(なつご)…。俳句歳時記に載っているこれら養蚕関連の語。かつて北関東では養蚕農家が数多く存在し、これらの季語が伝えんとする風景や情感が身近にリアルに感じとれた時代があったのですね。

群馬県にある富岡製糸場世界遺産に登録されたのは、2014年春のことでした。外国人観光客が増えるにつれ、日本文化を見直す動きも国内で活性化し、それにともなって衰退の一途を辿っていた絹文化・着物文化が見直される機運が今、徐々に盛り上がってきています。

川越は『かわとう』の呼び名で知られる綿織物・川越唐桟が有名ですが、かつては養蚕業も盛んな地域であり、また織物の集散地としても栄えました。

2013年の2月には、秩父神社・高麗神社と川越氷川神社宮司さんを中心とする「さいたま絹文化研究会」が発足しています。

下の写真は、2014年3月川越氷川会館で行われたその発足記念講演のときのもの。

「さいたま絹文化研究会発足記念講演会」会場

養蚕が大陸から伝わったのは2千年以上前とも言われています。その後、養蚕技術・製糸技術の改良などが重ねられ、日本の絹は大変上質なものとなりました。 かつては世界一の生糸輸出国であり、絹産業は日本の近代化に大きく寄与してきました。

蚕の繭から糸が紡ぎ出され、絹糸を布に織り上げ、一つの着物に完成させるのにどれほどの手間と時間が必要か。

着物に込められた壮大なストーリーと莫大なエネルギーに思いを馳せると着物のお洒落もより興味深くなりますよね。