「驚きの明治工藝展」に驚く
川越市立美術館で4月22日から開催されている「驚きの明治工藝展」。早速行って来ました。日本では、明治時代を中心として「超絶技巧」を施した工芸品が数多く作られました。主として輸出目的で作られたこれらの作品は、今日ほとんど日本国内には残っておらず、今回の展示は台湾の個人収集家のコレクションの一部だそうです。
日本の美術展には珍しく写真撮影も自由(数点を除く)なので、たくさん写真も撮ってきましたよ。
竹を這うトカゲ。すべて木で作られています。本物の竹使えば?と思ってしまうけど、「木で表現した」ということが重要なポイントなのでしょう。こういう、ただ人を驚かせたいがために、壮絶な労力を傾けたであろう作品が勢ぞろいしています。
関節部分が自由自在に動くという「自在置物」。触って動かしてみたいけどそれは不可。こちらのHPで蛇の自在置物が動く様子が見られます。
この時代の工藝品のキーワードに「緻密」「写実」というのがあって、驚くほど細かーく本物そっくりに作られたものが展示されていました。
「山姥香炉」。笑っちゃうほど細かい。作品の上に使用時の写真が展示してあります。口から白い煙を吐く山姥。
秀逸でこだわり抜いたアイディア、細部にまで神経を行き渡らせる職人気質。小さな作品に注ぎ込まれた膨大なエネルギー。これが日本人のモノづくりなんですねぇ。
技巧を凝らした麗しい作品も数々あり。
「他人を驚かせたい!」というエンターティメント性と、その実現のために投入された莫大な時間やエネルギーが、いずれの作品からも感じられて興味深く鑑賞しました。
ゆっくり見て回っても1時間弱くらいの所要時間でしょうか。小江戸観光の合間にふらっと立ち寄ってみたい展覧会です。観覧料も手ごろでそう混み合うこともなく、自分のペースで見て回れるこの美術館は首都圏近郊では結構穴場のアートスポットです。
「驚きの明治工藝展」は6月11日(日)まで。8日、18日、28日の「川越きものの日」に着物で来館した人には団体料金(一般は480円)が適用されます。